2025年の育児・介護休業法の改正ポイントは?改正理由や影響、企業が対応するべき内容を解説

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更新日:2026年1月26日
所員:すずき
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こんにちは!福利厚生の強化や健康経営をサポートする心幸グループです。

2025年、前年に改正された育児・介護休業法が2段階に分けて施行されました。今回、なぜこの法律が改正となったのでしょうか。本記事では、2025年施行の育児・介護休業法の改正ポイントと改正となった理由や経緯、企業と従業員への影響や、企業が行うべき対応について解説します。

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目次

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」という正式名称で、労働者が育児・介護を仕事と両立するための支援を目的に定められた法律です。

育児や介護の負担が大きいことが原因で、これまでと同じ働き方を続けることが困難となり離職する労働者は少なくありません。しかし、現在進行系で進む少子高齢化の中で労働人口も減少することが予想される中で、労働力の減少は問題となっています。そこで、育児や介護で離職者が増えて労働人口が減ることを防ぐための戦略のひとつとして、この法律が制定されたという経緯があります。

育児・介護休業法では、ライフステージに変化があった労働者でも離職することなく働き続けられるよう、事業主が働きやすい環境や制度を整備することが求められます。2025年の改正では、育児や介護に携わりながら働く人がさらに柔軟に働けるよう、企業にさまざまな対応が求められる内容が追加されました。

参考/厚生労働省「育児・介護休業法の概要」

2025年の育児・介護休業法改正のポイント

2024年5月に育児・介護休業法が改正され、全11項目の改正内容が2025年に4月(一部5月)・10月の2段階に分けて施行されました。それぞれの改正内容には、従来の法律と比較してどのような変更点があるのでしょうか。以下では、2025年に施行された育児・介護休業法の改正ポイントをまとめました。

参考/厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要」

2025年4月の改正内容

2025年4月1日に施行されたのは、11項目のうち9項目です。

子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

・子の看護休暇を行事参加等でも取得可能。対象となる子の年齢が小学校就学前から小学3年生に拡大
・所定外労働時間制限の対象者を3歳までから小学校就学前の子を養育する労働者に拡大
・対象となる労働者の条件から「勤続6ヶ月未満の労働者」を除外
・3歳までの子を養育する労働者に対して事業者が講ずる努力義務にテレワークを
追加

これまでの育児・介護休業法では、看護休暇は「子の看護休暇」という名称で、看護休暇の取得事由は子のケガや病気、または健康診断や予防接種に限られていました。

改正後は「子の看護等休暇」と名称が変更となり、従来の事由に加えて感染症に伴う学級閉鎖等、入園・入学式、卒園式などが追加されています。さらに所定外労働時間の制限、つまり残業免除となる対象者も小学校就学前の子を養育する労働者に拡大するとともに、看護休暇取得を除外できる労働者の要件から「継続雇用期間6ヶ月未満」が撤廃され、「週の所定労働日数2日以下」のみに緩和されました。

短時間勤務制度を利用することが難しい業務に従事している場合の代替措置として、従来の育児休業に準ずる措置と始業時刻等の変更に、テレワークが追加されています。そして企業に対しては、3歳未満の子の育児を担う労働者に対してテレワークを選択できる措置を講じるという努力義務も課されています。

育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化

・男性労働者の育児休業の取得状況公表の義務化対象となる事業主を、常時雇用する労働者数1,000人超から300人超の事業主に拡大
・次世代育成支援対策推進法に基づき事業主が行動計画を策定する際、育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定の義務化
・次世代育成支援対策推進法の有効期限を2025年3月31日から2035年3月31日まで10年間延長(※2025年5月31日施行)

男性労働者の育児休業等の取得状況の義務化対象の企業が、法改正後に拡大となります。2021年に総務省統計局が実施した調査結果によると、2021年時点で日本国内の従業員規模300人超以上の企業は1万3,199社にのぼります。2025年4月以降、これらの企業すべてに年1回、事業年度終了後おおむね3ヶ月以内に育児休業等の取得状況の公表が必要となります。

参考/厚生労働省「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」
総務省統計局「事業所に関する集計・企業等に関する集計」

介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

・労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た際、事業主の両立支援制度等について個別の周知・意向確認実施の義務化
・労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供、労働者を対象とした研修や相談窓口設置などの雇用環境の整備の義務化
・介護休暇における勤続6ヶ月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みの廃止
・家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる努力義務に、テレワークを追加

介護と仕事を両立する従業員に対しての支援も、今回の改正で強化されています。介護に直面した従業員に対して、企業が介護に関する支援制度や制度利用の際の申し出先、介護休業給付金についての周知や意向確認が義務化されました。周知・意向確認は面談や書面交付で行われ、労働者が希望した場合のみFAXと電子メールも利用可能です。

介護に直面していない従業員に対しても、支援制度や介護休業についての情報提供も義務化されています。対象期間、従業員が40歳に達する日がある年度、または40歳の誕生日翌日から1年間です。

そして、企業が育児と同様に介護を担う従業員がテレワークを選択して働ける措置を講じる努力義務も、今回の改正で追加となっています。

2025年10月の改正内容

2025年10月は、育児・介護休業法の改正内容のうち、以下の残り2項目が施行されました。

介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

・3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に、事業主が職場のニーズを把握した上で柔軟な働き方を実現するための措置を講じること、労働者が選択して制度を利用できるようにすること、個別の周知・意向確認の義務化
・妊娠・出産の申出時、または子が3歳になる前に労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮の義務化

この改正では小学校就学前の育児をする従業員に対し、企業は以下から2つ以上の制度を選択して従業員が利用できるよう義務化されました。

・始業時刻等の変更
・短時間勤務制度
・月10日以上のテレワーク等
・保育施設の設置・運営等
・労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための年10日以上の養育両立支援休暇の付与

これらの制度の周知・意向確認は、労働者の3歳未満の子の誕生日1ヶ月前までの1年間に行うことが義務化されています。

育児・介護休業法が改正となった理由

2025年の改正で、育児・介護休業法はより対象者が増え、育児や介護を行う労働者が離職することなく働き続けるための内容が追加または拡充されました。なぜ今回、育児・介護休業法が改正となったのでしょうか。その主な理由が、以下の2点です。

少子高齢化による労働力不足の解消

育児・介護休業法の改正理由としてまず挙げられるのが、少子高齢化です。日本の出生率はほぼ毎年過去最小を更新している一方で、高齢化率は右肩上がりで上昇を続けています。

2025年の日本は団塊の世代と呼ばれる世代が75歳以上の後期高齢者となるため、国民の5人に1人が後期高齢者、3人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会を迎えています。このまま少子高齢化が推移していくと、労働力が減少していくことは明らかでしょう。

そこで、2025年に法改正を行い、育児や介護などを理由としたやむを得えない離職を防ぐことで労働力不足解消を図る目的で、育児・介護休業法が改正されました。

仕事と家庭・介護を両立するための環境整備

上記の少子高齢化による労働力不足の解消には、従業員が働きやすい環境を整えることが重要です。2025年の育児・介護休業法の改正では、一人ひとりのライフステージに合わせた環境や制度の整備を通じて、柔軟な働き方を実現できるよう支援体制が強化されています。

しかし、制度や環境が整備されていたとしても、それらを利用する環境や利用する従業員の理解不足などの理由で、十分に活用されていないケースがありました。そこで2025年の法改正では、個別周知や相談窓口を設置するなど、企業が労働者に対して情報提供を行うことが措置義務として追加されています。

育児や介護を行っている人が利用できる制度などの情報を、勤務先である企業が従業員に対して行うことが義務されることで、制度を上手に利用しながら仕事と育児・介護を両立しやすい環境が整備されるというわけです。

また、企業に義務付けられている男性の育児休業等取得状況の公表対象が拡大されることによって、男女双方が育児・介護と仕事を両立しやすい環境を整備することも、2025年の法改正が行われた理由のひとつとなっています。

育児・介護休業法改正で想定される影響

育児・介護休業法の改正では、従来よりも従業員のライフステージに合わせて、育児や介護と仕事が両立しやすい環境整備が実現することが期待されます。しかし、これまでの環境や制度が変更となることから、企業と従業員それぞれに以下のような良い影響・悪い影響が予想されます。

企業に対する影響

企業は自社で働く従業員に対して、テレワークや時短勤務など育児や介護と両立しやすい柔軟な働き方ができる環境の整備とともに制度の周知、育児休業等の取得状況の公表などが義務付けられることとなります。

これらの環境や制度を整備することは、従業員のモチベーション向上や定着率向上などの良い効果が期待できます。企業イメージアップにもつながることから、優秀な人材確保にも寄与するでしょう。

一方で、環境や制度の整備に手間や負担がかかる点で悪影響となることが考えられます。特に、育児休業等の取得状況の公表義務化の対象範囲が拡大されたため、これまで育児休業取得状況の公表が必要なかった中小企業にも公表が義務化されます。

法改正に対応するために育児休業取得状況のデータ収集と公表方法などを検討しなければならない点は、中小企業への影響が大きい可能性があるでしょう。

従業員に対する影響

育児・介護休業法の改正は、より育児や介護と仕事を両立しやすい環境が整えられることから、利用する従業員にとっては良い影響が期待できると捉えられるでしょう。利用できる制度の選択肢が増えるため、ライフスタイルやライフステージに合わせた制度を利用でき、ワークライフバランスが整いやすくなる点もメリットです。

一方で、選択肢が増えることによって自分自身に最適な方法を選ばなければならない点がデメリットになることが考えられます。企業には制度の周知が義務化されていますが、最終的に選択する従業員本人が必ずしも最適な方法を選べるとは限らないからです。

また、柔軟な働き方ができることはメリットとなりますが、制度を利用することによって将来的にキャリアに悪影響となる可能性はゼロではない点が、従業員に不安視されることもあるでしょう。

育児・介護休業法改正で企業が対応するべきこと

育児・介護休業法の改正に伴い、企業ではさまざまな対応が求められます。主に、以下に挙げる3点の対応が必要となります。

勤務体系の整備

2025年の育児・介護休業法改正では、従来よりもさらに従業員が育児や介護と両立して働きやすい、柔軟な働き方を実現する環境を整える必要があります。

2025年10月の改正内容では、企業は育児と仕事を両立する従業員に対して時短勤務やテレワークなど2つ以上の制度導入が義務化されているため、勤務体系の整備が必要です。業務量や勤務時間の調整のほか、勤務地などの見直しや調整の必要が出てくるでしょう。

従業員に対する意向聴取・確認

2025年の法改正では、企業には制度の整備だけではなく、制度の周知や意向確認も義務化されました。対象者には個別で周知と意向の聴取・確認を、前述した方法で行う必要があります。

さらに、聴取した意向についての対応方法にも企業の配慮が求められます。例えば、ひとり親家庭や障害を持つ子の育児を担う従業員に対しては、適切な対応が必要となるでしょう。

就業規則・労使協定の見直し

改正後の育児・介護休業法では、子の年齢や所定外労働時間制限などの拡大や支援制度の強化などが義務化されることから、従来の就業規則と比較すると条件が緩和されるケースが増えることが予想されます。そのため、就業規則に育児休業や介護休業についての記載がある場合、育児・介護休業法の改正内容に沿った内容の見直しが必要となります。

また、労使協定で除外されている従業員が法改正後に育児・介護休業法の対象となる場合は、労使協定の見直しも行わなくてはなりません。

働きやすい職場環境づくりに寄与する心幸グループの福利厚生

2025年に改正された育児・介護休業法は、育児や介護に携わる従業員が働きやすい環境や制度を整備することにより、より多くの人がしてワークライフバランスを整えて長く働ける職場になることが期待できます。

育児や介護を行う従業員はもちろん、すべての従業員のワークライフバランスを向上するには、自社に合った福利厚生を導入するのがおすすめです。心幸グループでは、社員食堂や社内売店の運営、置き社食や健康経営サポートに至るまで、企業に最適な福利厚生を通して、社内全体で満足度の高い働き方を実現するためのサポートを行っています。

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まとめ

2025年に改正・施行された育児・介護休業法は、少子高齢化で労働力が不足することが予想される中、育児や介護をしながら働き続けられる環境を企業が整備し、定着率をアップしつつ働きやすい環境が整えられることが期待できます。

多様な働き方を選択できる機会もあるため、育児や介護をしながら働くことを希望されている方にとっては、従来と比較するとより働きやすい環境となるでしょう。

一方、企業は新たな制度や環境の整備に対応しなければなりません。就業規則や労使協定の見直し、制度の周知などの負担が増えることが予想されますが、今回の改正法への対応で将来的にさらなる進行が予想される少子高齢化による労働力不足を解消し、優秀な人材確保につながることが期待できるでしょう。

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