マイカー通勤者の通勤手当を計算するには?支給方法や不公平感をなくすための対応を解説

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更新日:2026年4月27日
所員:すずき
この記事の概要

こんにちは!福利厚生の強化や健康経営をサポートする心幸グループです。

マイカー通勤に欠かせないガソリンは、このところ価格が急騰しており、通勤にマイカーを利用する場合に通勤手当の額を超過するケースも出てきているのではないでしょうか。本記事では、マイカー通勤者の通勤手当の計算方法をはじめとして、通勤手当の支給方法、マイカー通勤者の不公平感をなくすための対応について解説していきます。

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目次

2026年3月のガソリン価格は史上最高値に

近年、食料品や光熱費など、生活に必要な品々の価格の高騰が続いています。そして2026年に入り、ガソリン価格の値上がりも顕著です。2026年3月、レギュラーガソリン価格の1リットルあたりの全国平均小売価格は史上最高値の190.8円となりました。

参考/資源エネルギー庁「燃料油価格定額引下げ措置」

ガソリン価格が急騰した理由

ガソリン価格が急騰した大きな原因は、2026年2月28日から続くアメリカとイスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東情勢の不安定化です。

日本は原油のおよそ8~9割を中東に依存しており、原油を運ぶタンカーのほとんどは、ペルシャ湾とオマーン湾の間に位置するホルムズ海峡を通過して運ばれているといわれます。ホルムズ海峡はイランの国土が面しており、イラン攻撃以降、イランはホルムズ海峡を事実上閉鎖したことから、タンカーの通行が困難となりました。

このようにホルムズ海峡が遮断され、日本の原油の大半を占める中東からの原油調達が困難となったことが、ガソリン価格急騰の最大の要因です。

加えて、中東情勢の悪化に伴う「有事のドル買い円売り」により、円安も進んでいます。原油の仕入れは米ドルが主流であるため、円安によって仕入れ値が上昇していることも、ガソリン価格急騰に影響しているとみられます。

参考/三井住友DSアセットマネジメント「「ホルムズ海峡」という日本のアキレス腱 ウクライナ戦争を踏まえた投資インプリケーション」

3月19日から緊急的激変緩和措置が実施に

イラン情勢の不安定化による急激なガソリン価格の値上がりに対し、ガソリン価格が最高値を付けた数日後、資源エネルギー庁は緊急的激変緩和措置が実施しました。これは、ガソリンをはじめとして軽油や重油、灯油などの燃料油に対し、全国平均小売価格が170円を超えた場合に、超過分の10/10を補助する、というものです。

3月19日出荷分から実施されたこの措置によって、一時最高値を付けたガソリン価格は値下がりしたものの、まだ中東情勢の先行きは見通せない状況が続いています。またガソリン価格に影響が及ぶ可能性が考えられます。

毎日通勤でマイカーを使う人には特に、ガソリン価格の値上がりが家計を圧迫する事態が、今後も懸念されます。

参考/資源エネルギー庁「燃料油価格定額引下げ措置」

そもそも通勤手当とは

通勤手当とは、企業が従業員に対して支給する福利厚生の一種です。

福利厚生は、法律で義務付けられている法定福利厚生と、導入が企業の裁量に任せられている法定外福利厚生の2種類に分けられます。通勤手当は法定外福利厚生にあたるため、すべての企業で導入されている制度ではありません。

福利厚生として導入される通勤手当にかかる費用は、一定の条件で非課税にすることができますが、利用する交通手段によって条件などが変わってきます。

マイカー通勤の場合の通勤手当の計算方法

マイカー利用者の通勤手当は、主にガソリン代で計算します。しかしこの計算は、公共交通機関の場合と比較するとやや複雑です。なぜなら、ガソリン価格そのものが変動する上、地域などによっても価格が変わるからです。

マイカー通勤者の通勤手当の計算方法は法律で定められているわけではないため、企業によって計算方法は変わってきます。また、車種によって燃費は異なり、ガソリン単価も変動します。そのため、一般的には燃費とガソリン単価を設定した上で計算します。

実際に通勤に使用したガソリン代は、走行距離を燃費で割り、1リットルあたりのガソリン代を掛けて求めます。燃費は走行距離をガソリン消費量で割った数値で、車種によって異なるので、あらかじめ算出しておくとスムーズでしょう。ただし、車の経年劣化によって燃費も変動するため、燃費は定期的にチェックする必要があります。

なお、マイカー通勤者の通勤手当は片道の通勤距離が2km以上の場合にのみ非課税となり、片道2km未満のマイカー通勤にかかる交通費は、全額課税されます。

公共交通機関を利用する場合との非課税限度額の違い

通勤手当の非課税限度額は、マイカー通勤者と公共交通機関利用者とで違いがあります。マイカーの場合は片道の通勤距離に応じて非課税限度額がスライドします。

一方、公共交通機関を利用した場合は、「最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合」の通勤定期券代などが該当し、一律1ヶ月あたり15万円が限度額です。

つまり、マイカー通勤では片道の通勤距離によって非課税限度額が変わりますが、公共交通機関利用者は距離にかかわらず一律という点が、非課税限度額における大きな違いです。

マイカー通勤者で有料道路を利用した場合、または一定の要件を満たす駐車場を利用している場合は、最高限度が15万円となります。

ただし、有料道路は「通勤のための時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法」、駐車場は「通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺又はその人が通勤のために利用する交通機関の駅若しくは停留所その他の施設の周辺にあるもの」と定められています。

参考/国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」

マイカーと公共交通機関を併用した場合の計算方法

マイカーと公共交通機関を併用する場合は、マイカーの場合と公共交通機関の場合両方の交通費を合算します。このケースでも、非課税限度額は1ヶ月あたり15万円です。

参考/国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」

通勤手当を支給する方法

企業が従業員に対して通勤手当を支給する際は、以下の3種類の方法が取られます。

実費支給

文字通り、通勤にかかった交通費の実費を支給する方法です。通勤手当の実費は毎月の給与とともに振り込み、もしくは定期券の場合は3ヶ月または6ヶ月の定期代をまとめて支給することとなります。

多くの場合、通勤手当は後払いとなるため、従業員は一時的に交通費を立て替える必要があります。

一律支給

就業規則で定めた額の通勤手当を、一律で支給する方法です。通勤距離や定期代にかかわらず一律の金額が支給されるため、通勤距離が短い場合は支給額を下回ることがある一方で、通勤距離が長距離となる場合は支給額を上回り、自己負担額が増えてしまう可能性があります。

一部のみ支給

交通費の上限や条件を設定し、通勤にかかった費用の一部のみを支給する方法です。支給上限額未満の交通費であれば全額支給となりますが、上限額を超えるガソリン代や交通費は自己負担となります。

通勤手当の非課税限度額は2025年度に改正・引き上げを実施

2025年11月、所得税法施行令の一部が改正されたことにより、通勤手当の非課税限度額の引き上げが行われました。この改正では、自動車や自転車通勤者の一部に限り、1ヶ月あたりの通勤手当の非課税限度額が引き上げとなっています。

この改正では、自動車や自転車で通勤している人を対象に、2025年4月1日以降の通勤手当の非課税限度額が、片道10km以上の場合に限り引き上げられました。

参考/国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」

マイカー通勤者の通勤手当に対して企業が行うべき対応

一部のマイカー通勤者に対しての通勤手当の非課税限度額は、2025年度より引き上げとなりました。そのため、マイカー通勤者の通勤手当の額やルールについて、以下に挙げるように今回の法改正に合わせて企業が行うべき対応も発生してくるでしょう。

会計処理のルールを明確にする

以前からマイカー通勤者がいる企業では、会計処理のルールを設定していることでしょう。今回の改正を機に会計処理のルールを見直し、明確にしておくことがおすすめです。

会計処理をスムーズにするためにも、従業員の通勤経路を確認しておく、ガソリン代の勘定科目を統一しておく、軽油とガソリンの会計処理を分けるなど、改めて基本的な会計処理のルールを確認し、修正が必要な項目は見直しておきましょう。

他の交通手段利用者との不公平感を解消する

公共交通機関を利用する場合にかかる交通費は、利用区間が分かっていれば明確です。しかし、自動車通勤の場合はガソリン代や燃費が一人ひとり異なることが多いため、実費が不明瞭となりがちです。

同じルートで通勤していても、自動車通勤にかかる費用は毎日一定ではないことが多いものです。ガソリン代の値上げ、または道路事情などの問題で普段とは異なるルートを取ったなどの理由でガソリン代が上がってガソリン代が支給される通勤手当を上回ってしまうと、マイカー通勤者は自己負担額が増えることで不公平感を感じる可能性があります。

このような不公平感を解消するためにも、今回の通勤手当の非課税限度額引き上げに合わせて、ガソリン代の定期的な見直しや距離測定方法などの見直しも必要となるでしょう。

通勤手当の支給方法を明確にする

企業が行うマイカー通勤者の対応では、前述した不公平感の解消とともに、通勤手当の支給方法を見直しすることもおすすめします。マイカー通勤者の通勤手当の支給方法には、通勤距離に応じて毎月定額の通勤手当を支給する、ガソリン代の実費を後払いで支給するなどの方法があります。

自動車通勤でかかる費用に大きな影響を与えるのは、ガソリン代です。ガソリン代は常に一定ではなく、時期や地域によっても変動します。ガソリン代の変動によって、支給される通勤手当を超えると、超過分の費用は従業員の負担となり、しかも課税されてしまいます。

マイカー通勤者に対して距離単価で通勤手当を設定しているのであれば、ガソリン代の単価を定期的に見直して変動に対応するのもひとつの方法です。そこで導入を検討したいのが、石油製品価格調査の内容です。

資源エネルギー庁では、毎週水曜日に石油製品価格調査を公表しています。この調査では、地域別や都道府県別のガソリン価格がわかります。この結果を通勤手当に反映する仕組みやルールを設定しておけば、もし急激にガソリン価格が値上がりした場合でも実態に即したガソリン代の支給が可能となり、マイカー通勤者の負担を減らせるでしょう。

参考/資源エネルギー庁「石油製品価格調査 調査の結果」

通勤手当とともに他の福利厚生の見直しもおすすめ

通勤手当は義務付けられている福利厚生ではありませんが、多くの企業が導入しています。しかし、マイカー通勤と公共交通機関を利用しての通勤では、支給される通勤手当に差が出てしまう可能性があることから、不公平感を解消するために見直しすることがおすすめです。

通勤手当の見直しを行うのであれば、自社で導入済みの福利厚生の内容や制度の見直し、新たな福利厚生の導入など、その他の法定外福利厚生も併せて見直すよい機会となるでしょう。

心幸グループでは、福利厚生強化や従業員の満足度アップを図れるさまざまな福利厚生サービスを提供しています。社員食堂や置き社食などの食のサポート、多角的なサービスで健康経営を実現する「オフけん」など、自社に合った福利厚生を支援しています。

自社に最適な福利厚生の導入を検討するなら、心幸グループへぜひご相談ください。

まとめ

企業が従業員に対して支給する通勤手当は、利用する交通手段によって金額が変わります。中でもマイカー通勤者の場合は通勤ルートやガソリン代などの変動によってかかる交通費が一定ではないため、場合によっては通勤手当の額を超過してしまうと課税対象となり、従業員の自己負担額が増える可能性があります。公共交通機関はかかる交通費は一定額であるため、マイカー通勤者は不公平感を感じることもあるでしょう。

2025年11月の法改正に伴い、自動車通勤者の通勤手当の非課税限度額が引き上げにはなりましたが、ガソリン価格の急騰などの問題から、負担が大きいと感じるマイカー通勤者も少なくありません。このような従業員に対して、企業は不公平感を持たれないよう、制度の見直しを検討する必要もあるでしょう。

同時に、他の福利厚生の見直しや導入を進めることも、従業員の満足度アップに貢献します。通勤手当を見直す機会に、導入している福利厚生全体もあわせて見直してみてはいかがでしょうか。

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