単身赴任手当の相場は5万 or 10万?民間と公務員で生活費は違う?条件や種類・税務のポイントを解説
こんにちは!福利厚生の強化や健康経営をサポートする心幸グループです。
単身赴任が発生するたびに、総務・人事担当者のもとには「単身赴任手当は5万円で妥当なのか?」「他社や公務員は10万円もらっていると聞いたが本当か?」「生活が苦しいと言われたが、制度に問題があるのか?」などの問い合わせが担当部署に入りがちです。
単身赴任手当は企業の福利厚生制度のなかでも不満が表面化しやすく、制度の全体像が社員に伝わりにくい分野ですから、金額だけが一人歩きして「足りる・足りない」という感情論になりやすい面もあるでしょう。
単身赴任手当の相場をどう捉えるべきか、なぜ5万円では不満が出やすいのか、10万円必要と言われる背景などを解説します。
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目次
【実態を紹介】単身赴任手当の相場

まず整理すべきなのは、金額そのものよりも「どの費用を、どこまで会社が負担する設計になっているか」です。
一般的な相場感を確認したうえで、公務員と民間企業の違いや単身赴任手当の内訳を整理していきましょう。
【民間企業】単身赴任手当の相場とは
厚生労働省が実施した「就労条件総合調査(令和2年)」によると、民間企業が支給する単身赴任手当・別居手当の平均支給額は「47,600円/月程度」でした。
企業規模ごとに見ても、ほぼ45,000円前後の水準です。
ただし実務上は役職者や遠隔地赴任に対して補助を上乗せし、実質的に8〜10万円の支給が行われる事例も少なくありません。
なお「10万円支給されている」という社員の認識があっても、それは単身赴任手当そのものの額ではなく、複数の手当を合算した結果である例も珍しくありません。
公務員と民間企業の単身赴任手当の相場の違い
一方で、人事院規則(人事院規則九―八九)によると、公務員の単身赴任手当は基本額として「30,000円/月」が支給され、このほかに赴任先と自宅との距離に応じて加算額が発生します。
加算額は8,000円〜70,000円の範囲内で、自宅から赴任先までの距離が2,500km以上の場合には70,000円が支給されます。
なお、地方公務員は自治体条例に基づくため、自治体ごとに異なります。
単身赴任手当は社員から公務員との比較をされやすい制度ですが、そもそも公務員の単身赴任手当は法律・条例に基づいて支給の基準が明確に定められている一方で、民間企業では住宅補助や社宅制度による間接的な支援も行われているなど柔軟性が特徴である点が大きな違いです。
「公務員は手厚い」「民間は不利」などと聞くこともありますが、実際には比較の軸が揃っていないため比較をしにくい分野です。
単身赴任手当の内訳と具体的な支給内容
単身赴任手当の一般的な内訳を整理します。
いわゆる用語の定義としての「手当」だけでなく、そのほかの補助を含む総額を「単身赴任手当」と便宜上、総称する企業も少なくありません。
・単身赴任手当(定額)
生活費補填を目的とした毎月支給の手当。
・住宅関連補助
社宅・借り上げ社宅・家賃補助など。制度の有無で、実質負担は大きく変わる。
・帰省旅費
月1回または年数回まで会社負担とする制度。未整備な企業も少なくない。
・引っ越し・初期費用補助
敷金・礼金・引っ越し代などの補助。初期負担軽減につながる。

単身赴任手当の支給条件と注意点について

単身赴任手当の代表的な支給条件と支給されない事例、申請手続き上の注意点をまとめました。
実務では、制度としての一貫性と社員への説明を意識する必要があります。
【自己都合転勤・希望転職は?】単身赴任手当の支給条件
単身赴任手当の基本的な支給条件は多くの企業で共通していて、ポイントは「本人の意思」ではなく「会社都合」である点です。
一般的には、業務上の必要性に基づく異動・転勤であることが前提とされ、配偶者の就労や子どもの就学などの「合理的な理由」により帯同しない場合に支給している企業がほとんどです。
また、赴任先の距離も重要で「距離・所要時間・交通手段」などから日常的な通勤が困難と判断できる場合には、単身赴任手当を支給する例が少なくないようです。
全ての転勤に支給されるわけではなく、自己都合の転勤や希望転職では発生しないのも通例です。
【生活費の節約は必至】単身赴任手当がもらえないケース
単身赴任手当が支給されない典型的な事例を整理しておきましょう。
「出る」と思っていた従業員が「出ない」とわかると大きな不満に直結しますので、人事や総務では「出ないケース」をあらかじめ想定し、適切に説明できるようにしておく必要があります。
・家族帯同が可能と判断された場合
社宅・家賃補助があり帯同が現実的と会社が判断しなければ手当は発生しない。
・赴任期間が短期の場合
数か月程度の短期赴任・一時的なプロジェクト対応では発生しない。
・独身者・単身世帯の場合
「単身赴任=家族と別居」が前提であるために、独身は対象外とする企業も少なくない。
・会社が用意する寮・社宅に入居する場合
生活コストが大幅に抑えられることを理由に、手当を支給しない設計になっている。
このような事例では、不支給の理由は「会社が冷たいから」ではなく、制度の前提条件であることを丁寧に説明する必要があります。
申請手続きの流れと注意点について
単身赴任手当は自動的に支給されるとは限らず、多くの企業では社員からの申請を前提としています。
一般的な申請手続きの流れをまとめます。
①転勤辞令の発令
②単身赴任申請書の提出
③家族状況・居住地の確認(住民票など)
④支給開始(翌月または当月)
申請期限を過ぎてしまう・必要な書類が不足している・家族状況の変更が未申告のまま…などの理由があると、支給開始が遅れたり未支給になるケースも想定されます。
申請のフローは、できるだけ簡素化するのが望ましいでしょう。

【数値で理解】単身赴任にかかる具体的な出費・費用

単身赴任制度を運用するうえで「いくら必要?」「5万円では足りないのでは?」という疑問が生まれやすい背景には、制度上の手当額だけでなく、単身赴任生活そのものにかかるコスト構造にもあります。
理解しておくべき費用項目と目安を整理します。
初期費用と月々の生活費の目安を紹介
まず大前提として、単身赴任では初期費用と月々の生活費という2つの段階で出費が発生します。
初期費用は引越しや住まいの準備にかかるお金で、数万円〜数十万円の引越し費用、敷金・礼金・仲介手数料などの住居の賃貸契約に伴う費用、家具や家電の購入費などがあたります。
月々の生活費は、単身者の1カ月の生活費平均は約18万円前後とされ(出典:家計調査/総務省統計局 2024年版)、これには住居費・光熱費・食費等を含みます。
単身赴任者の基本的な生活構造はこの水準に近いと考えられますので、ひとつの目安にできます。
生活費がかかる理由と節約が必要な理由
単身赴任者は元の住まいと赴任先の2つの住居費が発生するケースが一般的であるために、社宅や借り上げ住宅を使わない場合には、家賃負担が大きくのしかかります。
地域差も大きく、地方都市と都市部では家賃目安が数万円〜数十万円の差が発生するケースもあるために、生活費の負担と家計の両立が「苦しい」と感じやすい面も否めません。
食費・光熱費・日用品・通信費などを自宅と赴任先で二重に支払う必要から、生活費への不足感が出やすい実態もあります。
手当・補助金の種類とその活用法
単身赴任制度の負担軽減策として企業側が用意できる支援を複数用意しておくと、制度設計の幅が広がり、社員の負担感を下げ納得感を高められます。
例えば、引越し費用全額または一部補助や賃貸契約時の敷金・礼金の補助、初期の家具家電の購入の補助などの支援や、帰省旅費の補助、借上住宅制度も視野に入れると良いでしょう。
なお、帰省費や引越し費用を給与ではなく実費での精算扱いとする方法もあります。ただし社内規程や税務への専門知識が必要ですので、制度を適切に調整してから進めるのが確実です。
★単身赴任にかかる生活費の実態は?
単身赴任者の生活費や節約ポイント、初期費用の実例などのより具体的な解説は、過去のコラム『単身赴任の生活費はいくら必要?補助額や自己負担の目安と節約法を解説』でも詳述しています。
こちらも合わせて、ご覧ください。

【手取りが減る理由は?】単身赴任手当の課税対象と税金の影響

「手当をもらっているのに、思ったほど手取りが増えない」「支給されているはずなのに生活が楽にならない」
といった声が社員からあがる例は少なくありません。
その理由として、単身赴任手当が原則として課税対象である点も考慮する必要があるでしょう。
課税の基本ルールと、税金が生活に与える影響を解説します。
単身赴任手当の課税対象について
単身赴任手当は、税務上、原則として給与所得に該当する課税対象です。
つまり、通常の基本給や各種手当と同様に、所得税・住民税・社会保険料の計算対象です。
ただし、すべての単身赴任関連費用が課税されるわけではありません。
定額で支給される単身赴任手当や、生活費補填を目的とした手当は課税対象であるのに対して、引越しにかかる費用の実費精算や帰省時における旅費の実費精算は非課税扱いとする事例も珍しくない実態にあります。
この違いは、手当(給与)として支払われているのもなのか、あるいは立替払いによる実費の精算なのか、といった支給形態にあります。
税金が生活に与える影響について
単身赴任手当は課税対象であるために、単身赴任中の生活には手取り額の目減りが生じる場合があります。
例えば、単身赴任手当として月5万円が支給されている場合でも、所得税・住民税・社会保険料を差し引いた後の手取りは実際には少なくなりますから、手当が増えたはずなのに生活に余裕がない状況にもなりやすいでしょう。
また、単身赴任手当が給与として加算されることにより前年所得が増え、翌年度の住民税が上がるケースもあります。

【現場の実態】企業が実践する対応と制度運用の実務を解説

単身赴任手当は、制度そのものよりも「運用の仕方」次第で評価が大きく変わる制度です。
同じ金額・同じ規程でも説明不足や運用のブレがあると、社員の不満や不信感にもつながりがちです。
企業が実際に行う単身赴任手当制度の運用パターンや、企業ごとに対応が分かれる理由を現場の実態を踏まえて解説します。
企業の単身赴任手当制度の運用
単身赴任手当の制度運用は企業によって細かな違いはあるものの、いくつかのパターンに分類できます。
・定額支給型(シンプル型)
単身赴任手当を月額固定で支給し、住宅費・生活費は基本的に社員負担するパターン。
・住宅補助・社宅併用型
単身赴任手当は抑えめで、借り上げ社宅や家賃補助で実質負担を軽減するパターン。
・実費精算重視型
引越し費用や帰省の旅費は実費で精算を行い、定額手当は最低限に抑えるパターン。
どの運用が正解なのかは、企業のスタンスや従業員の理解によっても変わります。「何を会社が負担し、何を社員負担とするのか」を一貫して示せると、認識の齟齬を減らしやすいでしょう。
企業によって対応に違いがある現実
単身赴任手当の対応は、企業ごとに大きく異なります。
人材戦略・経営方針によっても制度の設計を変えざるを得ない側面もあるでしょう。
単身赴任による離職リスクを避けるために比較的手厚い制度を整えている企業は数多く見られる一方で、コスト管理を重視する必要性から最低限の補助にとどめる企業もあります。
いずれの場合においても他社との比較よりも自社の働き方・人材戦略との整合性を優先し、単身赴任手当を福利厚生の面だけでなく人材マネジメントの一部として位置付けられると、従業員の納得感も上がりやすい傾向があります。
★単身赴任者に「置き社食」の福利厚生を

単身赴任者への福利厚生には「置き社食」も人気です。
手薄になりがちな赴任先での食生活をサポートでき健康面での不安に寄り添う施策になるだけでなく、物価高対策にもつながるので、赴任者の満足度が上がりやすい仕組みです。
企業の規模を問わずに導入できる点も、高い評価をいただいています。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
単身赴任手当のメリットとデメリットについて

単身赴任手当は社員の負担軽減という側面だけでなく、企業側にとっても人材配置や事業継続を支える重要な制度です。
その一方で設計や運用を誤ると、不満やコスト増を招くこともあります。
単身赴任手当のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
単身赴任手当のメリット3つ
メリット① 転勤命令への納得感を高められる
単身赴任は精神的・経済的負担が大きい選択ですので、手当や補助が明確に用意されているだけでも、社員は「会社から配慮されている」というメッセージとして受け止めてくれやすい傾向にあります。
企業側から見ると、単なる金銭補填ではなく転勤命令に対する“納得感を担保するための費用”と捉えることができる点は、ひとつのメリットです。
メリット② 離職リスクの抑制につながる
単身赴任を理由とした離職は、管理職候補や専門人材ほど起こりやすい傾向にもあります。
反対に、手当制度が整っていれば「家計的に無理」「生活が成り立たない」といった理由による離職は防げます。
中長期赴任の場合には特に生活コストへの継続的な支援が定着率に直結しますので、離職リスクを抑制するメリットは想像以上に大きなものになりやすいのです。
メリット③ 人材配置の柔軟性が高まる
単身赴任手当が制度として機能している企業ほど、地域や拠点をまたいだ人材配置を行いやすくなる側面は大きな利点です。
急な欠員対応やスピード感のある人員配置、ノウハウの横断的共有など、企業の成長において必要な動きが取りやすくなるために、単身赴任手当は人材の可動域を広げる投資であると捉えることもできます。
単身赴任手当のデメリットと注意点
メリットもあればデメリットもありますから、続いてはデメリットと注意点も整理しておきましょう。
デメリット① 「金額」だけが独り歩きしやすい
単身赴任手当は、どうしても「5万円」「10万円」などの金額ばかりに注目が集まりがちです。
しかし金額だけで制度を評価すると、住宅補助や帰省費用との関係や税務上の扱いなどの重要な部分が見えにくくなってしまいます。
金額ばかりに視点が集まらないよう、制度設計においては関連する補助や福利厚生も丁寧に説明していく必要があります。
デメリット② 家計負担が見えにくく、不満が蓄積しやすい
単身赴任手当が支給されていても、二重生活による固定費や食費や光熱費の増加、帰省にかかる時間や費用といった理由から、赴任者が負担や不満を抱えやすいのは典型的なデメリットです。
「表面上は見えにくい負担」を企業側が理解をしていないと従業員との衝突を生む場合もあるために、支給する手当の効果を最大限に活かせるようにするためにも、当事者とのきめ細かなコミュニケーションが求められます。
デメリット③ 制度運用が属人化しやすい
単身赴任手当は例外対応が多く、支給開始・終了のタイミングや一時帰宅の扱い、家族構成の変化などで判断が分かれがちなのも否めません。
そのため運用が属人的になりやすく、場合によっては社員間で不公平感を生む原因となってしまう事例も見受けられます。
★生活支援まで含めた制度設計の選択肢を
単身赴任者の負担は、家賃や引越し費用だけではありません。
日々の食費・生活必需品の出費が積み重なって、家計をじわじわと圧迫するケースが多くあります。
こうした課題に対し、赴任先での食費負担軽減や生活必需品を適正価格で提供するサービスを単身赴任手当と組み合わせることで「現金支給+実生活の支援」につなげらます。
生活支援まで含めた精度設計は、心幸にぜひご相談ください。

まとめ|単身赴任手当は「金額」より「設計と運用」で評価が決まる

単身赴任手当は「5万円で足りるのか」「10万円必要なのか」といった金額に注目されがちですが、実際には金額の多寡よりも、制度全体の設計と運用の一貫性が従業員の納得感を左右します。
公務員と民間企業では支給水準や仕組みに違いがあるものの、民間企業において重要なのは「他社と比べてどうか」ではなく、自社の人材戦略や転勤の実態に合っているかという視点です。
現金支給だけに頼らず、生活支援サービスや福利厚生施策を組み合わせることができれば、社員の満足を高めつつ、制度運用の安定化を図りやすいでしょう。
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