「外国人雇用」は人手不足の解消策から成長の切り札へ!帝国データバンクの数値に見る現状と、定着を生む職場環境の整え方を解説
日本の労働市場は今、かつてない転換期を迎えています。少子高齢化に伴い生産年齢人口の減少は加速し、あらゆる業界で「人手不足」が経営のリスクとして顕在化しています。
こうしたなかで、企業の維持・成長を支える鍵として注目されているのが「外国人労働者」の存在です。
しかし、いざ雇用を検討する段階では「手続きが難しそう」「文化の違いでトラブルが起きそう」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまうのでは」といった不安を感じる声も少なくありません。
本記事では、帝国データバンクの最新調査データを交えながら、外国人労働者を取り巻く現状を整理していきます。
採用の具体的なステップから、単なる労働力確保に留まらない「職場環境の改善」や「福利厚生」がもたらす定着効果まで外国人雇用を自社にとって現実的、かつ前向きな選択肢とするためのガイドとしてご活用ください。
目次
【現状分析】データから読み解く、外国人労働者雇用のリアルな情報を紹介

外国人労働者の受け入れを検討する際、まず理解しておくべきは「社会全体がどのような方向に動いているか」という客観的な事実です。
押さえておきたいポイントを解説します。
深刻化する「人手不足」の現状は他人事ではない
帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の意識調査」によると、正社員が不足していると感じている企業の割合は多くの業種で50%を超え、過去最高水準を推移しています。
特に建設、物流、情報サービス、飲食店といった業種では、人手不足が原因で受注を制限したり黒字でありながら廃業を検討したりする「人手不足倒産」のリスクも現実味を帯びています。
なお、「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)」によると、現在外国人を「雇用している」と回答している企業は24.7%(有効回答企業1万1,000社超)に達しています。これは、前回調査(2024年)から1.0ポイント上昇していて、およそ4社に1社が既に外国人材を戦力として組み込んでいる計算です。
これまでは賃金を上げれば人が集まると考えられていましたが、現在では労働人口そのものが減少しているので、国内の若年層の奪い合いには限界があります。
このデータが示唆するのは、もはや従来通りの採用手法だけでは企業の存続が危ういという厳しい現実と言えるでしょう。
なぜ今、外国人が選ばれるのか
現実的な課題を解決する方法として、外国人労働者を「貴重な戦力」として位置づける企業が急増しています。
厚生労働省の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)』でも、外国人労働者数は年々増加していることがわかり、すでに250万人を超えています。
なお、前述の「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)」によると「今後、採用を開始・拡大する」と回答した企業は全体で14.3%ですが、業種別に見ると顕著な差が出ていて、飲食店や旅館等では特定技能制度の活用が進み、採用意欲が極めて高いほか、運輸・倉庫でも2024年9月に特定技能の対象分野に「自動車運送業」が追加されたことで意欲が急伸している実態が読み取れます。
企業が外国人を求める理由は単なる「数の確保」だけではなく、国内では確保が難しい20代〜30代の労働力を探せる点や、技能実習や特定技能で来日する労働者の多くは、母国への送金や技術習得という明確な目的を持っていて非常に意欲的である点が挙げられます。

外国人労働者の雇用が職場にもたらす「変化」と「影響」は?

外国人雇用は、組織の体質を強化する大きなチャンスにもつながります。
外国人労働者の雇用が職場にもたらす「変化」と「影響」について、知っておきたいポイントを解説します。
ポイント:人手不足対策として即効性と持続性がある
特定技能1号・2号の拡充によって、熟練した技能を持つ外国人が長期間(条件を満たせば無期限)にわたり日本に留まれるようになりました。
これによって、かつての「数年で帰国してしまう一時的な労働力」という認識も薄れ、繁忙期を乗り切りやすくなる即戦力や属人化していた業務の解消に即効性をもたらす存在になっているなどの声も聞かれます。
外国人労働者は、一度適切な受け入れルートを構築すれば安定的に次世代の労働力を確保できるため「将来の現場リーダー」としての長期的なキャリア形成も可能です。この「持続性」は、採用コストの回収と組織の安定をもたらします。
ポイント:既存従業員・職場環境へのポジティブな影響がある
外国人労働者の受け入れはマイナスな影響があると懸念する企業もありますが、実態としてはポジティブな影響も多く見受けられます。
典型的なのは、曖昧だった業務指示を「標準化」する必要によってマニュアルの整備ができる点や、労働時間や安全基準を再徹底するために結果として日本人従業員にとっても「働きやすい職場」へとアップデートされる点です。
これまでの日本の職場では「阿吽の呼吸」のように暗黙の了解で済ませる文化もありましたが、外国人労働者には通じない文化であることから、業務を数値化・可視化する必要があります。
しかしこれが結果的に、日本人社員の教育効率までも向上させる効果が出ています。
また、異文化との接触は、既存社員に「わかりやすく伝えるスキル」や「多様性を認める寛容さ」を育み、組織全体のコミュニケーション能力を底上げしています。
ポイント:注意すべきは「ひずみ」の懸念である
一方で、準備不足のまま雇用に踏み切ると、職場に「ひずみ」が生じます。
前述の「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)」では、外国人雇用の課題として「教育・スキルの習得(55.1%)」と「コミュニケーション(55.0%)」が突出しています。
また、24.3%の企業が「宗教や生活様式への配慮」に難しさを感じているというデータも出ています。
コミュニケーション不全が起きれば指示が正しく伝わらずにミスや事故が発生しますし、現場に外国人労働者への対応を丸投げしてしまえば、日本人社員が「言葉の通じない外国人の面倒を見させられている」と負担に感じてしまう懸念もあるでしょう。
これらの懸念を払拭するためには「ひずみ」が大きくなる前に、会社が主導となって受け入れ側の心構えを整える意識が不可欠です。

人事・総務担当者が知っておくべき「外国人労働者を採用する4ステップ」を解説

外国人採用を成功させるためには、法的なルールを遵守して計画的に進める必要があります。
人事・総務担当者が知っておくべき採用のステップを整理します。
ステップ1:在留資格(ビザ)を正確に理解する
外国人が日本で働くためには、その業務内容に合った「在留資格」が必要です。
主なものを挙げましょう。
| 技術・人文知識・国際業務 | 通訳、エンジニア、マーケティングなど |
| 特定技能 | 深刻な人手不足12分野(建設、外食、介護など)に限定された、即戦力としての資格 |
| 技能実習 | 国際貢献を目的として、実習生として最長5年就労 |
2027年度からは新制度である「育成就労」も始まります。育成就労は特定産業分野における「人材の確保」と「育成」を目的としていて、育成就労はこれまでの制度と比較してより「雇用」に近い形で受け入れが可能です。
自社の業務で必要とする労働者がどの資格に該当するのか、不明な点が多ければ行政書士等の専門家への相談を含めて適切に確認しましょう。
ステップ2:募集・選考のポイントを整理する
求人票には、給与や勤務地だけでなく「外国人労働者に対して、どのようなサポートがあるのか」を具体的に記載します。
また、選考の基準としてどの程度の日本語能力を求めているかを明記したほうが良いでしょう。さらには「なぜこの会社で働きたいのか?」と動機を確認すると認識の違いを避けやすいでしょう。
採用後のトラブルを防ぐ視点から、面接では自社の社風を伝え、相手の価値観や生活習慣とのギャップについても確認しましょう。
ステップ3:雇用契約と行政手続きを正しく理解する
給与、労働時間、休日などの労働条件は、法律の規定により日本人と同等以上でなければなりません。
また、雇用契約書は本人が理解できる言語、または併記する形式で作成することが望ましいでしょう。
ステップ4:受け入れ体制を構築する
入社当日のオリエンテーションは特に重要で、日本人従業員には行わない「生活支援」についても考慮する必要があります。企業で「ウェルカムプログラム」を用意するのも有効です。
具体的には、銀行口座の開設・住居の確保・ゴミの出し方・公共交通機関の使い方などの日本での生活ルールを教えます。
また、可能であれば困ったときに気軽に相談できるバディ制度として「教育担当(ブラザー・シスター)」を社内で任命するなど、外国人の孤立を防ぐ取り組みもあると良いでしょう。

【最重要の視点】外国人労働者の「採用」よりも難しい「定着」の壁をどう越えるか?

せっかくコストをかけて採用しても、数ヶ月で離職されては意味がありません。帝国データバンクの調査でも「継続性・定着」を課題に挙げる企業は少なくない実態にあります。
外国人労働者の定着率における「壁」を乗り越えるためのポイントを解説します。
離職の主な原因を探る
実は、外国人が職場を去る最大の理由は「給与」だけではありません。
職場での会話に入れず自分が歓迎されていないと感じる疎外感や、生活上の困りごとを誰にも相談できないこと、単純作業の繰り返しで、将来のキャリアが見えないことなどを理由に離職する外国人も珍しくない実情にあります。
離職を防ぐには、自社の状況だけでなく同業種や同一地域での離職理由について調べるとヒントが得やすいかもしれません。
働く環境・福利厚生の重要性を考える
外国人労働者にとって、福利厚生は「会社から大切にされている、守られている」という実感を得るための重要な指標のひとつに位置付けられます。
つまり日本における福利厚生は、外国人にとっては単なるプラスアルファのサービスではなく、労働者としてのセーフティネットの役割も担っています。
「健康管理」と「食事」を重視する
盲点になりがちなテーマではありますが、外国人労働者が慣れない異国での生活で最も大きな不安を抱きがちなのが「健康」です。
日本の食事が合わずに栄養バランスを崩したり、精神的なストレスから体調を崩したりするケースも少なくない傾向にあることから、食事を単なる栄養補給ではなく、リフレッシュとコミュニケーションの場と位置付けるとスムーズです。
食に関する福利厚生が充実しているかどうかは、外国人労働者の定着率にも直結するのです。
✩心幸が提案する「外国人労働者も喜ぶ」福利厚生の考え方
私たち心幸グループが提案する「食と健康」を軸にした福利厚生の役割について、外国人労働者を抱える企業様からよく伺う点に「彼らが昼食をどうしているか把握できていない」という悩みがあります。
コンビニ弁当ばかりで栄養が偏っていたり、休憩室が使いにくく自席で孤立して食べていたりといった実態があると、体調を崩すだけでなく疎外感による離職にもつながりかねません。
心幸グループが提供する「社内食堂」や「設置型社食(オフめし)」「社内売店」は、言葉が不自由でもバランスの取れた温かい食事を安価に提供でき、日本人社員と同じ場所で同じものを食べる習慣によって健康リスクを低減する働きも期待できます。
国籍を問わず、従業員がベストパフォーマンスを発揮できる環境を整えるためにもぜひ心幸の福利厚生サービスをご検討ください。

【FAQ】在留資格・支援・研修はどうする? 外国人労働者雇用に関するよくある質問と回答

外国人労働者の雇用に携わる現場の担当者から寄せられるリアルな疑問にお答えします。
現場の不安を解消するためのQ&Aとしてご活用ください。
Q1:日本語が片言でも採用して大丈夫?
A:業務内容によりますが、ツールを活用すれば可能です。
接客業など日本人とのコミュニケーションが業務の柱となる業種は一定の日本語レベルが必要ですが、製造や物流の現場では、翻訳アプリや図解マニュアル、指差し呼称シートなどを活用できれば、片言でも十分に活躍できます。
言葉の壁に関しては、会社側が「外国人に歩み寄る姿勢」を見せることで信頼関係にも繋がります。
帝国データバンクの調査でも、教育・コミュニケーションが最大の課題として挙がっていますが、多くの企業が翻訳ツールや「やさしい日本語」を導入して乗り越えています。
Q2:不法就労を防ぐために、何を確認すればいい?
A:必ず「在留カード」の原本を確認してください。
不法就労を防ぐためには、在留資格の種類・就労制限の有無・有効期限の3点を必ずチェックします。
このときに、コピーではなく必ず「原本」を確認してください。
また、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効照会」のサポートページを活用すると、在留資格が失効していないかを確認できます。
Q3:宗教上の理由(食事や礼拝)への対応はどうすべき?
A:可能な範囲で尊重し、事前の相互理解を深めましょう。
宗教上の理由から豚肉やアルコールなど特定の食材や食品を食べられないケースには、食堂のメニューに成分表示(できれば、誤解がいないようにピクトグラムを用いる)を行うなどの配慮が喜ばれます。
また、礼拝については休憩時間の調整や静かなスペースの提供など、周囲への影響が少ない範囲での相談から始めると良いでしょう。
過度な特別扱いはせず、個人の信念を尊重するルールづくりがスマートです。
Q4:短期間で辞めてしまわないか不安。対策は?
A:孤独な環境にせず、将来に向かって頑張れる環境づくりを。
外国人労働者と定期的な1on1面談を行い、困りごとは早期にキャッチアップすると効果的です。
また、特定技能2号への移行や昇給など数年後に向けたキャリアパスを個別に提示すると、長期勤続へのモチベーションを高められます。
日本で腰を据えて働き続けるには、企業から「将来の目標」を提示することがとても有効です。

まとめ:外国人労働者の雇用を「当たり前」の選択肢にするために

外国人労働者の雇用は、もはや一時的な「人手不足のしのぎ」ではありません。
帝国データバンクの調査が示す通り人手不足は構造的な問題であり、多様な人材を受け入れられる組織へと変革することこそが、企業の存続条件と言っても過言ではありません。
採用を成功させて定着させるためには、特別なテクニックではなく、企業が外国人労働者に対して“ひとりの人間”と向き合っていく姿勢も求められます。
具体的には、外国人の生活と健康を支える誠実な取り組みが、長期的な信頼関係にもつながっていきます。
新しい制度の導入や手続きは確かに手間がかかるかもしれませんが、将来的に外国人労働者のみならず日本人の従業員からも「この会社で働いてよかった!」と感じてもらえる環境をつくっていくためにも、食と健康の福利厚生は魅力的な職場づくりに欠かせない要素になっています。
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